本部りーじ農園代表:宇根良則(うね・よしのり)
略歴
- 1947年7月、沖縄県国頭郡本部町生まれ
- 本部小学校、本部中学校、名護高等学校の就学時代りーじばるの実家で過ごす
- 1966年琉球政府立琉球大学農学部に入学(在学中家業手伝い、腰痛症療養のため2か年間休学)
- 1972年沖縄県経済農業協同組合連合会(沖縄県経済連)に就職
- 2005年沖縄県農業協同組合(JAおきなわ)への統合に伴い身分移管
- 2007年7月沖縄県農業協同組合を定年退職。9月より毎週月・火曜日を本部町の牛乳屋跡地にて就農を開始。居住地那覇市においては「ピィパーズを生かす会」はじめ琉球古典音楽ならびに八重山古典民謡の芸能活動、那覇市文化協会役員、琉球古典音楽野村流保存会役員、祖氏比嘉門中会役員などと幅広い社会貢献活動を展開する。
- 現在は2020年11月設立「沖縄県ピィパーズ生産推進協議会(沖ピ協)」の会長を務める。
ピィパーズとの出会い
子供のころ亡き母が作っていたヒハツ入りナントゥンスーが懐かしい。
経済連八重山支所勤務時代(1980~1982)に八重山そばには必ずピィパーズが付き物と認識していました。
石垣島から那覇帰任後間もなく新古住宅を購入、八重山出身者で前の所有者によって建物背後には既にピィパーズが植栽されていました。
現役時代仕事中心のためピィパーズを利活用することもなく過ごしてきました。
そして定年退職後、八重山出身で旧知の友が「ピィパーズ生かす会」会長であることを知り2008年同会に入会しました。
「ピィパーズを生かす会」では認知度向上を図るため公共施設への植栽、苗づくり講習会、料理講習会が開催されており、積極的に参加しました。
本部町においても本部ピィパーズ普及会を結成し普及活動に取り組んできました。
2017年、70代突入を機会に就農体系を見直し、ピィパーズ栽培モデル化、専門農場として「本部りーじ農園」を再スタートしました。
「ピィパーズを生かす会」(会長西表秀夫)は認知度を向上させる当初の目的は達成出来たとして、2020年10月発展的に解散しました。
その後を受けて同年11月末、「沖縄県ピィパーズ生産推進協議会(沖ピ協)」を設立し会長に就任しました。
ピィパーズ生産、普及への思い
私を突き動かしたのはピィパーズを生かす会初代会長山城直吉氏の口をついて出た「ピィパーズをマイナーからメジャーへ」でした。
メジャーにするには生産力が課題です。生産基盤を確保するためには苗の供給能力が必要となります。
沖縄には昔からメス株だけが存在しオス株が無いため種子による発芽が無い。そのため挿し木による増殖が唯一の手段となっています。
当初低かった育成率は技術の向上をみて軌道に乗りつつあります。苗の生産に力を入れることでその供給力を高め、以てピィパーズの生産量の確保につないでいきたいと考えております。
なぜピィパーズの普及にこだわるのか?
15年の普及活動を通して言えることはピィパーズを好きになり、愛してやまないからです。
そして普及拡大することでSDGs(持続可能な開発目標)の観点からも三つの目標に貢献出来ると考えています。
目標その1 「すべての人に健康と福祉を」に寄与する
ピィパーズは薬草として知られており果実、葉、茎、根にそれぞれの効能があります。
果実にはピぺリンが豊富に含まれており血管を柔軟化して血圧の正常化に役立ちます。新陳代謝機能の向上効果があり基礎体温を高め免疫力の向上に役立ちます。
最新の医学研究で毛細血管のゴースト化を予防効果があるとされており、高齢者の認知症、骨粗鬆症予防にもつながります
目標その2 「住みつづけられるまちづくりを」に寄与する
ピィパーズは人の手を借りて増殖し、人の愛情に育まれて育つ植物です。
沖縄の自然環境下ではフウトウカズラなど他の植物に駆逐されてしまいます。その反面人里や街になると虫を寄せ付けず「色良し、香り良し、食べて良し」と人に愛される条件が整っています。
つる性で壁に付着しまっすぐ上に伸びる植生は壁面緑化能力に優れています。
八重山地方では石垣に這う姿が沖縄の原風景として親しまれています。
市街地においてはコンクリート住宅が林立し無機質化する中、ピィパーズの壁面緑化は目に優しく潤いのまちづくりに寄与出来ます。
また植物体で壁面を覆うことでコンクリート輻射熱の低下が期待でき、ヒートアイランド現象の防止にもつながるのではないかと考えております。
目標その3 「パートナーシップで目標を達成しよう」に寄与する
これまでの普及活動の経験からピィパーズは「人と人を結びつける」と実感しています。
私達にはピィパーズをメジャーに、全国区に育て上げたいとの願いがあります。
世間的にはまだまだ認知度が十分浸透出来ていない発展途上にあります。行政的にも推奨対象になく少数で全くマイナーな作目です。
情報を発信し続けることで最近は徐々にピィパーズのことを知りたい、植えてみたい、料理に使ってみたいとの声が高まっています。